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2020.05.26
竹六商店の日記

本煤竹

お客様より時々聞かれるのは、

「煤(すす)竹ってありますか?」というご質問。

 

煤竹と呼ばれる竹には種類があります。

・本煤竹(ほんすすたけ)

・炭化煤竹(たんかすすたけ)

・染煤竹(そめすすたけ)

他にも本煤女竹(ほんすすめだけ)や炭化女竹(たんかめだけ)など。

 

「炭化」と「染」は基本的に加工名称のため、いろいろな竹に応用できます。

 

しかし、本煤竹というものはその二つとは異なり、人々の生活の中で完成された竹です。

日本の伝統建築である茅葺屋根の家屋において竹は構造材などとして使用されてきました。

当時の生活様式は電気やガスがないため、

「灯りをともす・暖を取る・料理を作る」

そういったことをするにも囲炉裏の火が中心となり日々が巡っていたかと思います。

 

囲炉裏から出てくる煙は家屋自体に出てくる虫を取り払う効果があったり、

その煙による煤が建屋をより強固にしたりなど、多くの利点がありました。

その煙を竹は長年浴び続けいきます。

雨風などの自然が猛威を振るう日々も、柔らかい日差しが注ぐ日々も、

どんな時も人々を守り続けながら、幾年もの時を重ねてまいります。

 

そして、生活様式が変わった現代において茅葺の家屋が役目を果たしたとき、

生きてきた証の象徴である黒い煤が付着した竹を手にとることができます。

それが我々の言う「本煤竹」です。

 

本煤竹の黒い煤は、指で触れた部分を黒くするほど粒子が細かく、

竹によっては煤が厚みを持ち山なりのようになっていることもあります。

その厚みから建屋での生活風景が感じられるような、どこか叙情的な気持ちを思い起こされます。

そんな気持ちに浸りつつも、煤を洗いきれいに取り払うと、

今度は鮮やかな色味・模様を魅せる姿へと変貌します。

縄目模様がはっきり出たものや、色味の際立ったものなど、一本一本に個性が出てまいります。

 

社内にたくさんの在庫があり、その全ての本煤竹には生きてきた歴史が深く深く刻まれております。

細いものであれ太いものであれ、100年以上前のものばかり。

歴史の大先輩たちばかりです。

彼らが次の場所でしっかり輝けるように我々も精進せねばと思わされる次第です。

ご質問・ご相談などがございましたらお気軽にお問い合わせください。
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